「任せたのに、思っていたものが出てこない」。その理由を、担当者の能力だけで説明していませんか。完成形のイメージが違った、判断してよい範囲が不明だった、途中で聞けなかった。依頼の設計から見直せることもあります。
僕は33歳でITコンサルのマネージャーになりました。ただ、ここに書くのは、当時の部下との実際のやり取りではありません。管理職の役割を扱ったインプットをきっかけに、仕事の受け渡しを整理するための型を提案します。
任せる仕事を、作業名だけで伝えない
「資料を作っておいて」には、複数の意味があります。会議で説明するのか、承認を取るのか、状況を記録するだけなのか。目的が違えば、必要な情報も完成度も変わります。
資料を受け取る人と、その人が何を判断するかを伝えてみてください。「来週の会議で、責任者が二案から方針を選べる資料」という形なら、枚数より先に必要な内容を考えられます。
依頼時に共有する五つの項目
| 項目 | 共有する内容 |
|---|---|
| 目的 | 誰が何に使う仕事か |
| 完了条件 | 何が揃えば、提出・完了と判断できるか |
| 裁量 | 自分で決めてよいことと、確認が必要なこと |
| 途中確認 | いつ、何を見せ合うか |
| 相談条件 | 期限に間に合わない、費用が変わる等、知らせるべき変化 |
「どこまで任せるか」と「どこで確認するか」をセットにします。途中確認があるから裁量がない、というわけではありません。方向が違ったときの手戻りを、早い段階で見つけるための接点です。
完成後ではなく、構成の段階で確かめる
次は架空の依頼例です。
来週の会議でA案とB案を選ぶため、費用・期限・懸念を比較してください。見せ方は任せますが、金額の前提を変える場合は確認してください。水曜に構成と不足情報を見せてもらい、金曜に提出する流れでどうでしょうか。
ここでは、成果の目的、内容、裁量、確認時点を伝えています。すべての作業手順を指定するのではなく、判断に必要な境界を揃えています。
経験の少ない仕事なら、最初は途中確認を増やす選択肢があります。一方、慣れた仕事まで毎日細部を確認すると、任せた意味がなくなることもあります。難易度と相手の経験に合わせて頻度を相談してください。
やり直したくなったら、差分の種類を分ける
提出物が気になったときは、まず違いを三つに分けます。
- 完了条件を満たしていない違い。
- 条件は満たすが、もっと良くできる違い。
- 自分の好みとの違い。
条件不足は修正を依頼する必要があります。しかし、好みの違いまで全部直すなら、相手に渡した裁量を取り戻すことになります。「自分ならこうする」と「仕事として不足している」を同じ評価にしないことがポイントです。
例えば「色を変えて」より、「比較対象が区別しにくいので、違いが一目で分かる表示にして」と目的を伝える。方法の選択肢を残せます。
止まっている仕事は、一緒に原因を確認する
進みが遅いときは、いきなり自分へ引き取る前に、どこで止まっているかを確認します。情報待ちなのか、判断待ちなのか、作業量なのか、依頼の理解なのか。原因によって必要な支援は違います。
本人が抱えている別の仕事や、相談しづらさも確認してください。担当者の責任を問うためだけの進捗確認では、問題が見えにくくなります。

次に任せる一件で、完了条件を一行足す
まず「何ができれば完了か」を一行にしてください。そして相手にも、どう理解したかを確かめる。きれいな依頼文を作ることより、認識を揃えることが目的です。
個人としての成果と信頼についてはマネージャー昇格の体験談、自分の役割の整理には市場価値の棚卸しも参考にしてください。
著者: Rista(リスタ)。本稿は現在の提案で、当時の委任実例を再現したものではありません。参考テーマ: ITmediaの管理職の記事。アイキャッチはSlidebeanによる無料素材写真で、本人の職場ではありません。

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