求人票に「月給30万円」とあっても、その中に固定残業代が入っているなら、固定残業代を除いた基本給、何時間分でいくらか、超えた分をどう支払うかを見てください。総額だけでは、毎月の賃金の内訳を比較できません。
固定残業代は、実際の時間外労働の有無にかかわらず、一定額を支払う仕組みです。厚生労働省の労働条件の明示に関する説明は、募集時に固定残業代を採用する場合、固定残業代を除いた基本給、対応する時間数と金額等の計算方法、固定残業時間を超える時間外労働・休日労働・深夜労働への追加支給を示す必要があると説明しています。この記事では、求人票にある数字を読み、足りない情報を質問する順番に絞ります。
「月給」を基本給と手当に分ける
次は計算を説明するための架空の求人票です。実際の求人や著者の給与ではありません。
| 求人票の項目 | 架空の記載例と確かめる意味 |
|---|---|
| 月給 | 30万円。表示された総額。 |
| 基本給 | 25万円。固定残業代を除いた金額。 |
| 固定残業代 | 5万円・20時間分。一定額に対応する時間と金額。 |
| 超過分 | 20時間を超える時間外労働分を追加支給。定額の範囲を超えた場合の扱い。 |
この例は「25万円+5万円=30万円」という表示の読み方だけを示したものです。所定労働時間や割増賃金の計算条件を置いていないため、この金額が個別の契約で適法かどうかは判断できません。手取り額、賞与、実際の残業時間もここからは分かりません。また、固定残業代が20時間分と書かれていても、毎月20時間の残業が必ずある、または20時間までしか働かないという意味にはなりません。仕事の実態は別に確認します。
「職務手当に固定残業代を含む」などの記載なら、手当のうち何円が固定残業代なのかを見ます。ハローワークの求人情報の入力方法でも、基本給に含む固定残業代は分けて入力し、「固定残業代」の額と特記事項を記すよう案内しています。求人サイトによって欄の名称や配置は違うため、欄が見つからなければ募集要項の本文や別紙も確認します。
書かれていないときに尋ねる三つの情報
厚生労働省の求職者向け資料にも、固定残業代の表示例として、固定残業代を除いた基本給、対応する時間数と金額、超過分の追加支給が示されています。三つのうち一つが見つからないときは、「載っていない=支払われない」と決めつけず、別の募集要項を探し、採用担当者に書面で示せるか尋ねます。
| 見つからない情報 | 採用担当者への質問例 |
|---|---|
| 固定残業代を除いた基本給 | 「月給のうち、固定残業代を除く基本給はいくらでしょうか」 |
| 対応する時間と金額 | 「固定残業代は何時間分で、月額いくらとして計算されていますか」 |
| 超過分の扱い | 「固定残業時間を超えた時間外労働、休日・深夜の勤務はどのように支払われますか」 |
質問例は、求人の内容を聞くために作った文です。説明を受けたら、数字と条件をメールや書面で確かめます。金額や時間数が選考中に変わったときは、変更後の条件が分かる資料を求めます。厚生労働省の案内は、選考過程で当初示した条件が変わる場合、変更内容を示す必要があると説明しています。
固定残業代の「時間」と、職場の残業実態は別
求人票の「20時間分」は、固定残業代の計算に使う時間です。その職場の月平均残業時間を示す欄とは役割が違います。ハローワークの入力方法でも、固定残業代の欄と月平均残業時間の欄は分かれています。残業の実態を知りたいなら、募集要項の時間外労働の記載を読み、面接では応募する部署や職種について尋ねます。
「固定残業代は20時間分と理解しています。この職種で直近に公表できる月平均の時間外労働と、繁忙期の働き方を教えてください」
この質問への回答が、将来の労働時間を保証するわけではありません。数字を受け取ったときは、対象期間と対象部署、月平均か最大値かも確認します。会社全体の平均と応募部署の実態を同じ値として扱わないためです。
二つの求人は同じ項目を横に並べる
求人を二つ比較するときは、月給の大きさから判断を始めると、内訳や仕事の時間を見落としがちです。手元のメモには、月給、基本給、固定残業代の金額と時間、超過分、試用期間中の条件を同じ順で並べてください。賞与や手当は支給条件が違うため、月給に勝手に足して年収を確定させません。
| 比較する項目 | A社で写すこと | B社で写すこと |
|---|---|---|
| 月給/基本給 | 募集要項の二つの額 | 同じ二つの額 |
| 固定残業代 | 金額/対応時間 | 金額/対応時間 |
| 超過分の支給 | 記載された追加支給の条件 | 同じ条件 |
| 実際の時間外労働 | 対象部署/対象期間/月平均 | 同じ範囲の数字か |
| 試用期間 | 期間/期間中の賃金差 | 期間/期間中の賃金差 |
表に空欄が残れば、それが面接や内定後に確かめる質問です。A社が会社全体の月平均、B社が応募部署の繁忙期の数字を示しているなら、そのまま大小を比べません。求人票と面接の説明が違った場合は、厚生労働省の労働条件Q&Aが案内するとおり、まず違いが生じた理由を確認します。ハローワーク求人なら窓口への相談もできます。
年収を上げる選択肢全体を考える場合は30代で年収を上げるための仕事の選び方を、提示された条件の交渉については年収交渉の実録記事を参照してください。本稿で最初にすることは、気になる求人の「月給」を一件選び、基本給と固定残業代の内訳を二行で書き出すことです。
著者:Rista(リスタ)。金額、比較表、質問文は説明用の架空の例です。個別の賃金制度の適法性や将来の年収を判定するものではありません。制度情報は2026年10月15日に厚生労働省とハローワークの公開資料で確認しました。
アイキャッチは画像生成AIで作成したイメージです。実際の求人票や賃金資料を示しません。

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